負の遺産を残すな
東北にある妻の実家に滞在中です。最近の寒波の影響もあってとても寒いですが、ミルクを作る時に、粉ミルクを熱湯で溶かした後、水道水で冷やしますが、水道水もとっても冷たいので冷めるのが早く、調乳の時間が短縮出来るといったメリットも感じています。
気温は東京より低いですが、建物の防寒設備がしっかりしている分、東京の安アパート暮らしより温かく感じているのですけどね〜。
今日は育児と言うよりかは、ちょっと違うお話です。
保育園に勤務していると様々な家庭の姿を目の当たりにします。
家庭の姿は本当に千差万別で、家庭の数だけ育児の方針があり、また、家庭ごとの常識、ルールが存在します。
そんな中で、友人だったり保護者からだったりでちょこちょこ聞く、嫁いだ奥さんとお姑さんとの関係の話です。
日本においては、圧倒的に男性が妻を娶ることの割合が多いと思います。たまに婿入りした人がいると「マスオさんしてるんだね」なんて言われたり、男性保育士並みに婿入りは珍しい存在なのでしょうね。
そして嫁入りした奥さんとその家庭に元からいたお姑さんとの関係作りの難しさは、まぁ様々な物で伝えられているので、ここで論ずるつもりはありませんが、1つ私の思うことを書かせて貰いたいと思います。
それは、「私もやってきたのだから、あなたもやりなさい」と言うことに関してです。
これは嫁姑だけに関わらず様々な世界で現れることだとは思うのですが、日本において、家庭、育児といった所では、悪い面の習慣、悪習ですね、が、引き継がれているように感じるのです。
昔、もう世代的には2世代になりますかね。戦争世代ですね。その頃は男性は外で働き女性は家庭を守る。そういった役割分担があり、それ自体に意見したいのではありません。
ただ、1世代前の人達、戦後世代ですね。その人達の頃からは、女性が外で働くのは当たり前になっています。なので、2世代前の人間と、1世代前の人間で、ギャップが生じて、嫁姑問題が生まれやすい。これは時代背景がガラッと変わる分、仕方ない面もあったと思います。
あ、すみません、今ここでの世代感覚は私(30代昭和生まれ世代)から見ての感覚です。あしからず。
1世代前のお母さんたちは、働く苦労を持ちつつも、お姑さんたち内助世代の人達に家庭のこともしっかりやりなさいと言われて、いわゆるWワーク状態ですよね。
それでも、1世代前のお母さんたちは、自分を育ててくれた母親達が当たり前にやっていた家事や育児を自分も同レベルで行うものと、ある意味疑問を持つことなくこなされてきた。すごく大変な世代を生き抜いてきた人達だと思うのです。団塊世代もあり、今より1家庭で持つ子どもの数も多かった世代ですしね。社会に出てバリバリ働きつつ、家庭のことも全く疎かにすることなく頑張ってきたスーパー世代と言えると思います。
そのスーパー世代が、今私たち世代のお姑さんになっているわけですが、ここでう〜んと思うことがあるのです。
頑張ってきた世代です。凄いです。それは何の異論もありません。
ただ、その世代の方々の家庭に嫁いだお嫁さん達が、今再度、同じ働きを求められているという話をよく聞くのです。
本来、今のお姑さん世代は、更にもう一つ上の世代、私から見て大姑さん世代ですね。
そこから世代間ギャップのもと、厳しく見られ、苦労をされてきた方々だと思っています。
つまりお姑さんとの苦労をよ〜く知っている世代なのですよね。
その方々が今自分たちがお姑の立場になった時に、自分たちがしてきた苦労を次の世代に強いている面があるようなのです。
これが不思議な点です。
物事によっては、継いでいくべき事柄というのは当然あると思います。
ですが、辛いこと、苦しいことを次世代に引き継ぐ必要性はあるのでしょうか?
大姑世代の方々は戦争で悲惨な体験をされ、それを次世代に受け継ぐまいとして努力してくれたと思います。
ですが、私が聞く私世代のお嫁さんとお姑さんの間では、まるで、お姑さんが大姑さんにやられた嫌だったことをお嫁さんにやり返しているような話を聞きます。
悪習というものは存在します。
それは閉鎖的な環境でよく起こる物のように思います。
学校教育現場では、今ようやく体罰がなくなろうとしていますよね。昭和の頃から体罰は禁止されていた上で、平成も何十年も経ってようやくですが。
大企業はコンプライアンスを守りますが、小さい会社ほど、サービス残業は多いですよね。
保育園でも、休憩時間がちゃんと存在している園は少数派です。
男女雇用機会均等法が確立したのは1997年ですが、私が保育園への就活をした2010年代でも、いくつもの園に「うちは男性は採りません」と門前払いを受けました。
ちょっと話題がずれそうなのでここまでにしますが、大人なら子どもに必ず言うであろう「自分がされて嫌なことをひとにしてはいけない。」ということ。とてもシンプルなこれが出来ないからこうなっているように思います。
私は保育士として、子ども優先の考え方を持っているので、子どもの立場から見たら、家庭におじいちゃんおばあちゃんがいて、お父さんお母さんがいる拡大家族の形はとても望ましいものと思います。単純に世話をしてくれるマンパワーが多いだけでなく、様々な価値観に触れることが出来るからです。
教育者の中には「子どもが混乱しないように、家庭内の意見は統一しましょう」という主張がありますが、私はむしろ「家庭内であろうと意見が一人一人異なることは当たり前、色んな考え方に触れ、自分が良いと思う考え方を取り入れるべき」と考えています。なので多世代の同居は子ども目線では良いと思います。
ただ同時に私の母も、祖母との関係でとても苦労していたのを目の当たりにしています。
なので、核家族が悪いとは絶対に思いません。
今のお姑さん世代は、非常に苦労を重ねられた世代と思います。
どうかそれを、下の世代に同じように苦労をさせてやろうと思わないでいただきたい。
男性の育児休暇においても、女性側からよく聞かれる「私は1人でも育児してきたけどね」という意見。
とても多く聞きますが、決して皆さん言わないのは「育児、楽だったから1人で余裕だよ」です。
「私、1人でも【苦労して】育児してきたけどね」が正確なところですよね。
買ってでもした方が良い苦労と、しなくて良い苦労、あると思います。
育児は、女性が1人で孤独に行うべきものでは決してありません。
この悪習が1つなくなれば、世の嫁姑問題も、1つは原因が減る気がします。